五年後の自分、とは?

「五年後の自分について説明してください。」
エントリーシートで、こう問われることがあります。
一見回答不可能なこの問題は、実は「機会をどう選別するか」という問いなのだと思うようになりました。


まず、ストレートに考えます。
五年後の自分について、客観的に説明できるだろうか。
現在から因果の糸をたどって、五年後の自分にたどり着くだろうか。


無理だと思います。
五年前に想像した、五年後の未来では、私は理学研究科で修士二年で、素粒子物理学の研究をしているはずでした。
実際は、情報学研究科で修士一年で、音楽の統計解析をしています。
昔なら考えもしなかったことです。


五年後の未来を論理的に予測するのは、そもそもバカみたいな話です。
そういう、未来に対する論理的な予測能力は、経歴を見て面接をすれば、すぐに分かりますし、「五年後の自分」という最も非論理的な設問では測れません。


手掛かりは、「主体性」と「機会」なのではないか、と思うようになりました。
人は主体性によって機会を創り出し、機会によって成長します。主体性があるからこそ、結果に責任を持つことができます。
リクルートの(昔の)経営理念である、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉が参考になると思います。


やりたいこと、挑戦したいことを、どんどん試せばいい。
でもいつか時間的な限界にぶつかります。
そもそも、機会なんて、掃いて捨てるほどあるのです。
Twitter で誰かを誘ってご飯を食べたことがないなら、誘えばいいし、カラオケの幹事経験がなければ、やればいいのです。
何でも企画して、実行すれば良いのです。
そのうち、機会というものがどんどん見えてくるようになるし、全部やるのは無理、というのも分かります。


どういう機会を選ぶのか。
選択の基準はどこにあるのか。
それを、五年後、なりたい自分から逆算して考えろ、ということなのかも。